3.労務管理でよく生じる問題点

⑴能力不足を理由に普通解雇する際の注意点

 就業規則で定める解雇事由に該当するからといって、必ず解雇が有効になるわけではありません。解雇するには裁判例の集積で形成された解雇権濫用法理が確立しているからです。

 解雇権濫用法理とは、使用者の解雇権の行使も、それが客観的に合理的な理由を欠き社会通念上相当として是認することができない場合には、権利の濫用として無効となる、という考え方です。この解雇権濫用法理からすると就業規則では解雇事由を特段限定して定めていなくても、限定解釈しなければならない場合があります。

 従いまして、就業規則に「能力不足」という事由を解雇事由に定めており、その事実に該当する事由が生じたから解雇したとしても、その解雇が無効になる恐れが高いです。「能力不足」という理由で、従業員をいきなり解雇する場合、よほどのことがない限り、その解雇が有効になる可能性は低いです。

 では、能力不足で解雇するにはどのようなことが必要かといいますと、事業主としては従業員の「能力不足」という抽象的要件に該当する事実を把握し、それに対して従業員を注意・指導する必要があります。

 また、解雇するには、戒告などの軽い処分を経る必要があると思われます。能力不足という理由で解雇するには、ある程度時間をかけて注意・指導が必要になりますので、事業主としても多大な負担を伴います。

⑵退職勧奨する際の注意点

 退職勧奨とは、使用者が個々の労働者の事情により当該労働者に退職を促すことをいいます。解雇を有効に行う要件が厳しく、また、解雇の有効性が裁判になった場合には必ずしも裁判の見通しが明確ではないので、退職勧奨が利用されます。

 しかし、この退職干渉は、当該労働者の自由意思により雇用関係の終了を促すものですから一定の限界があります。退職勧奨の限界を超えた勧奨行為は不法行為として慰謝料の対象になりますので、注意が必要です。

 また、退職の意思表示も民法に定めがある意思表示の瑕疵・欠缺の規定が適用されます。
 従いまして、虚偽の事実を告知して退職勧奨を行った場合には、それによって当該労働者が退職を承諾したとしてもその退職の意思表示に瑕疵・欠缺があるとして無効になる場合(民法95条・96条)があります。


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