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第二 債権の管理

1 債権成立を立証する証拠の管理

訴訟になっても勝てるように証拠を揃えておく。
取引の際、契約書、領収書、受領書などの書面を作成していれば、話し合いによって債権回収をする場合でも、相手方は債権が存在することについて争わない可能性が高いです。
以下、債権が存在していることを立証する重要な証拠を説明します。
 

⑴ 取引の相手方

ア 会社の場合
(ア) 商業登記簿謄本
  • ・取引を開始する際、相手方に提出を求める。
  • ・多額の取引であれば、本店所在地を確認する。

 

(イ) 会社法上の決議の議事録

取締役会の決議事項(会社法362条4項1号重要な財産の処分及び譲受け、同項2号多額の借財)に該当しそうなときの取締役会議事録。
 

イ 取引の相手が個人の場合

免許証、パスポート、住民票で相手方をしっかりと特定する。
勤務先を聞いておくといい。
 

⑵ 契約書

債権の発生原因が契約である場合、その成立を立証する一番重要な証拠は、契約書です。
必ず、取引を始める際には契約書を作成し、保管しておく。
 

⑶ 領収書・商品受領書

  • ・消費貸借契約では、お金を貸し付けた証拠として領収書など。
  • ・商品に関する売買契約であれば、商品を引き渡した証拠として商品受領書など。

 

2 消滅時効の管理

消滅時効の管理に関しては、消滅時効の期間が一律ではなく、また、消滅時効の中断事由も複雑です。
以下、一般的なことを説明しますが、その都度、弁護士に相談することを勧めます。
 

⑴ 消滅時効

消滅時効とは、一定期間権利行使しないと権利が消滅してしまう制度です。
権利の証拠があっても消滅時効が成立してしまうとその権利を行使することが困難です。
従いまして、債権管理として、消滅時効が成立しないようにすることが重要です。
 

⑵ 消滅時効期間

消滅時効の時効期間は一律ではなく、権利の種類によって異なります。
一般の債権は10年(民法167条)、商事債権は5年(商法522条)ですが、短期消滅時効(民法170条から民法174条)など、これらの期間より短い時効期間が定められているので注意が必要です。
 

⑶ 消滅時効の起算点

権利を行使できるときから(民法166条1項)
 

⑷ 消滅時効の中断

ア 消滅時効の中断とは、時効期間の進行中に、一定の要件で、それまでの消滅時効期間の進行を否定する制度です。
時効の中断事由には、①請求、②差押え・仮差押・仮処分、③債務の承認があります(民法147条)
 
イ 請求
・ 訴えの提起など
* 催告・・・権利者が裁判外で請求すること。
催告後6ヶ月以内に訴えの提起などの中断手続をとらない限り、中断の効力が生じません(民法153条)。
従いまして、請求の発送を繰り返しても時効は中断しません。
 
ウ 差押え・仮差押・仮処分
 
エ 承認
具体例:一部弁済、債務確認書の作成など
 

3 与信限度額

与信限度額を定めないと、取引先の資力に見合わない多額の売掛金が発生する恐れがあり、売掛金を焦げ付かせてしまう可能性があります。
与信限度額を設定し、多額の売掛金の焦げ付きを防ぐ必要があります。
 

4 不動産の登記簿謄本からの判断できること

甲区には所有権に関する事項、乙区には担保権などの所有権以外の権利に関する事項が表示されています。
 

⑴ 甲区

  • ・仮処分の登記はついていないか。
  • ・仮差押え、差押えの登記がないか。
  • ・国税の滞納処分がないか。

 

⑵ 乙区

  • ・抵当権者の数。
  • ・抵当権者が誰か。
  • ・競売の申立て、担保不動産執行の申立の登記がある。

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