債権回収について
1 顧問弁護士のメリット
① 債権回収をより確実にするために保全手続(仮差押・仮処分)という手続きを取る場合があります。この手続は、迅速に対応する必要があります。
弁護士がいれば、直ちに相談して、保全手続に対応することが可能となります。
② 顧問弁護士がいれば、日頃の相談の時から債権管理の方法及び債権回収の方法を教えておくことが可能ですので、より債権が回収できる可能性が高まります。
③ 顧問弁護士がいれば、問題になる以前から、担保を取る方法などもアドバイスできますので、より債権が回収できる可能性が高まります。
2 事前の管理について
債権については、日頃からの管理が重要になります。
例えば、商品の売掛金の管理であれば、契約書を作成して、その売掛金残高を把握しておくだけでなく、買主から商品受領書ももらって保管しておく必要があります。
また、平常時に、契約書を公正証書にしておいたり、担保を取っておくとより債権回収が確実になります。
さらに、分割払を認めている場合には、契約書に期限の利益喪失条項を入れておくことが重要です。
3 債権回収の方法について
債権回収の方法は、以下のような方法があります。
どの方法によって回収するかは、事案を見極めた上で、決定致します。
⑴ 内容証明郵便で請求する。
内容証明郵便は、一定の形式で作成する必要があり、普通の手紙と比べて格式張って見えるため、相手方に対して心理的な圧力を与えることが可能な場合が多いです。
電話をかけたり普通の手紙を送っても相手方が誠意ある対応を取らない場合には、内容証明郵便で支払を催促するのも一つの方法です。
⑵ 支払督促
貸金・賃金などを債務者が支払わない場合に、申立人の申立のみに基づいて裁判所書記官が行う略式手続です。紛争の対象になっている金額に関わりなく、金銭の支払いを求める場合に利用できます。
申立人は、債務者からの異議の申立てがなければ仮執行の宣言を得て直ちに強制執行をすることが可能となります。
但し、債務者が異議を出した場合には、通常の民事訴訟に移行します。
⑶ 少額訴訟
60万円以下の金銭支払請求事件の場合には、少額訴訟を提起することが可能です。
少額訴訟は、手続きをできる限り簡易にしており、原則として1回の審理で判決がでる手続きです。
勝訴判決が確定すると、強制執行の手続きを取ることが可能になります。
また、この手続きの中で、和解が成立して、債権を回収できる場合があります。
⑷ 訴訟を提起する
訴額が140万円以上の場合には、地方裁判所に訴訟を提起します。
訴額が140万円以下の場合には、簡易裁判所に訴訟を提起します。
訴訟で勝訴判決を得てそれが確定するか、仮執行宣言付きの勝訴判決を得ると相手方の財産に強制執行することが可能になります。
また、裁判手続きの中で、和解が成立して、債権が回収できる場合もあります。
⑸ 保全手続
強制執行の対象になる財産を保全するため、債務者が自由に財産を処分することができなくするための手続きです。
⑹ 強制執行
訴訟で得た勝訴判決が確定するか、仮執行宣言付の勝訴判決を得ると強制執行をすることができます。
公正証書や和解調書によっても強制執行をすることができます。
強制執行の対象となる財産により強制執行手続きが違ってきます。
* 上記記載の債権回収の方法は、担保を有せず、かつ、債務者の協力がない場合の一般的な債権回収方法です。